佐藤繊維の物作りのこだわりを企画目線で紹介してきた【ものづくり日記】がリニューアル
ニットにまつわる背景とお勧めアイテムを紡績ニットメーカーならではの視点でお届けいたします。
スタートは佐藤繊維ブランドにおける春夏シーズンの定番素材「和紙」から
和紙で作られた「紙糸」の歴史は古く、奈良朝時代から使用していたとさ れ、今昔物語では紙衣(かみぎぬ)という文字も見受けられる。
そんな古来より日本人に親しまれてきた紙糸は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)といった木の皮を主原料とし、それらを草木の灰と 一緒に煮込む(草木の灰を混ぜることで繊維を柔らかくする効果がある)。
その後、真水に晒して煮汁を抜き、幾度となくすすぐ。この煮汁を漉き、脱水と乾燥を経て、「和紙」が出来上 がる。 衣類としても使用されることの多い和紙の糸は「紙って破れないの?」「洗っても大丈夫なの?」といった質問を受けることが多いのだが、例えばコピー用紙に使用されるような洋紙に 比べて、和紙は丈夫で破れにくい。
それはなぜか。その秘訣は原材料と繊維の長さにある。
例えば佐藤繊維ブランドに使用される紙糸の主原料は針葉樹の白皮。 針葉樹の繊維は洋紙の原料となる広葉樹のそれと比べ、平均して二倍以上の長さを持つ。 この長い繊維が製造工程上で絡み合うことによって強靭な素材となって生まれ変わる。
洋紙の主原料は広葉樹の幹の部分。それに加えて、端材、廃材なども混ぜそれらを細かく砕き、チップにしたものを薬品で煮込んで溶かす。
その後に漂白した繊維の固まりをパルプにしたものが、いくつかの工程を経て洋紙となる。
洋紙を製造するためには木の幹が丸ごと使われるのに対し、和紙に必要なのは幹の皮のみ。
残った中心部は他の用途にも広がるいう点は環境にも優しいと言える。
しばらく脱線してしまったが、紙糸の作り方に話を戻す。
出来上がった和紙は細くスリットされ、それらを紙縒り(こより)にすることで紙糸となる。
ただし紙縒りにしただけの紙糸を編み上げると肌触りはザラザラとしており、「着心地が良い」とはお世辞にも言えない。
佐藤繊維は着心地の良い紙糸を求めて開発を続け、苦労の末にオリジナル糸「涼」を完成させる。
この糸は特殊な撚糸(ねんし)製法を用い、和紙のスリット断面を皮膚に触れにくくすることで独特の柔らかさを表現することに成功。
これにより「紙なのに柔らかい」という新たな価値観を生み出した。
和紙自体は多機能素材と言われており、吸水、吸湿性に優れていることから汗をかいてもさらっとべたつかず、心地よく過ごすことができる他、 他素材に比べて乾きやすいことも快適さを助長する。
また抗菌、消臭性にも優れていることから宇宙船内で長期間着用する靴下用の素材として採用されるほど優秀な繊維である。
水や摩擦にも強いことからお手入れも簡単。夏には嬉しいUVカット機能も。
蒸し暑い夏であっても快適におしゃれを楽しめる和紙のニット。
是非お手にとってお試しください。
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