ものづくり日記

2026.02.11

【Making Things】クマムレース

佐藤繊維の物作りのこだわりを紹介する【Making Things】がリニューアル

ニットにまつわる背景とお勧めアイテムを紡績ニットメーカーならではの視点でお届けいたします。

今回は「クマムレース」がテーマです。

 

「神は細部に宿る」

この言葉をモットーとしてものづくりを続ける佐藤繊維ブランドにとって

欠かせないパーツと言えるのがクマムレースの芸術的なトーションレースやブレードの数々。

〔FUGA FUGA Spring2026コレクションより〕

 BFH07062WA-63 レース付きリネンストレートパンツ / ワインレッド


 

クマムレースとは大阪南部にアトリエと生産拠点を構える工房である。

コロナ禍を機に佐藤繊維グループへの参入と共に屋号を変更して現在に至る。

クマムレースの前進となるカツミ産業株式会社は昭和52 年創業。


同社のレースやブレードは強烈な個性を放ちつつもテキスタイルにすんなりと馴染む唯一無二のクリエイティビティ。


 古くは日本国内の著名なコレクションブランドから依頼を受け、企画開発、デザイン、素材選びを手がけてきた同社ではあったが、

ファッション産業において多くのアパレルブランドが低コストでの生産に傾向したことによる影響で受注は減少を辿り、倒産を余儀なくされる事態に直面する。


 旧カツミ産業に所属していた人材、また同社の保有する機械に対して、

クリエイティブディレクター・佐藤正樹はこのような印象を抱いていた。
「技術やノウハウは一度失ってしまうと二度と取り戻すことができない。

またこの技術はファッション先進国であるヨーロッパにもないものであり、まだ大きな可能性を秘めている」 

この思いから佐藤は技術者、設備、社屋全てを引き受け、クマムレースとして再出発を果たした。

 人々を魅了してやまないこのレースの魅力はどこにあるのか。

日本のトーションレース業界では圧倒的な一大産地であった栃木県。

ここで使用されていた素材は九割方がコットンであったとのこと。

資材的な扱われ方が多かった昭和時代のレースはとにもかくにも製造コストを抑えることが常態化しており、オイルショック後には海外製品の流入により価格競争はさらに激化。 旧カツミ産業は生き残るべく、ニット製品の巨大産地であった大阪府南部に目を向けた。そこでニットウェアの製造に使われるウールやアクリルなどの糸を用いた独自のレースを提案し、高付加価値製品の販売に成功する。 

これまで低価格であったレースに新たな価値が生まれた瞬間であった。

 

 

 フリルのレースなど代表的な商品も生まれ、ハイエンド製品を展開する同社はファッション業界で名を上げることとなる。
 これに飽き足らず様々な色、形状を持つファンシーヤーンを組み合わせたレースは他社レースとは一線を画す存在となる。
 元来低コスト重視であったレースは生産性が最重要であることからコットンが主として使われた背景がある。クマムレースのように多種多様なファンシーヤーンを組み合わせると、糸それぞれの伸縮性、形状の違いなどから生産性における弊害は大きい。
コットンだけで形状も伸縮性も変わらず、大量生産が可能となるが、クマムレースのクリエーションは開発に手間をかけ、じっくりと時間をかけるものづくり。既存のやり方とは真逆の発想がクマムレースの真骨頂である。

 

 

 

 

 

 

 

 


 2000年。ファッション業界者向けの合同展示会「ジャパンクリエーション」に初出展。そこでM.&KYOKO 立ち上げ直前であった佐藤繊維と運命的な出会いを果たすことになる。
それ以来、佐藤繊維ブランドには必要不可欠となったレースは独創的なテキスタイルと共存共鳴。

世界的にも類を見ないニットとレースのハイブリッドスタイルは人気商品の一つとなる。
 この展示会をきっかけに、同社は様々なコレクションブランドとの取引が始まり、ファッションショーで同社製のレースに多くの注目が集まった。

デザイナーからのオリジナルレース製作依頼に対して世界中からかき集めた膨大な種類の糸や色を組み合わて各ブランドのイメージに合うレースを創ることができるのも同社の大きな強み。 ブランドから届く生地に合わせて「この糸とあの糸をこの色目で組み合わせ、こんな柄で編み込んでみたらきっとこんな雰囲気に仕上がるであろう」と谷本の脳内でシミュレーション。出来上がったレースの仕上がりには多くのデザイナーがその虜となる。 現在ではアパレル製品だけに留まらず、ハンドクラフト愛好者ファンも多く抱えており、一般向けにはオンラインショップで販売中。

見ているだけでも楽しくなるレースの数々を是非ご覧くださいませ。

 

 

 

クマムレースオンラインストアはこちら

クマムレースInstagramアカウント:@kumamu_lace

 

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